佐倉ゼミで購読している文献

  • 2009-01-20 22:35:04
学期も残すところあと少しとなりましたが、現在、ゼミで読み進めている
文献について紹介したいと思います。
ゼミは週1回、前半に各人の研究発表&質疑応答、後半に文献購読という形を
とっています。

今学期読み進めている文献は、Stanley Finger (1999) "Minds Behind The Brain: A History Of The Pioneers And Their Discoveries" Oxford Univ Pr.です。
脳科学の成立・発展の経緯を科学史的に書かれた大著です。
私が担当したのは17章で、内容は、スペリーが研究・実践した「分離脳」についてでした。
分離脳とは、脳の左脳と右脳をつなぐ脳梁を断ち切ることで、てんかん患者の発作を抑えること
を目的として行われた術式です。
スペリーは分離脳患者を観察・分析することで、左脳と右脳の機能分化(左脳が言語をつかさどり、右脳は感情 etc.)
を証明しました。
彼はこの研究により、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
現在はこの術式はほとんど行われず、薬物による治療へと変化してきています。
ただ、スペリーが証明した脳の機能分化の概念は脳科学史上、重大な発見であることには
かわりありません。
私たちが現在では、"常識"として持っている左脳と右脳の機能分化もスペリー以前は、認められていませんでした。

私が担当した以外の章も、デカルトやアリストテレス、シャルコーなど興味深い内容が並びます。
ご興味がありましたら、ぜひご一読を!

礒部
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