加瀬 郁子

  • 2014-02-05 01:10:57
博士課程

自己紹介

生化学・分子生物学分野出身。科学者が知らず知らずのうちにかけてしまう「科学」という強力なメガネに興味があり、そのせいで引き起こされる社会との軋轢からヒントを得たいと思っています。究極的には「科学」という営みや科学知識が科学者にとってどのように立ち現れているのか、またそうさせているものは何かということを明らかにしたいです。
趣味はフグ飼育。苦手なものは虫と地震と注射。

研究概要

研究テーマ:科学者共同体外で流通する科学言説の分析―「脳トレ」ブームを足がかりに―
社会に流通する科学的言説は科学的に不正確であり疑似科学的である、という批判が科学者によってなされることがある。しかし人々は科学者と異なるフレームで科学的言説を解釈し、語っているのではないだろうか。
社会に流通する科学的言説がどのように語られているかを明らかにするため、科学者共同体外部の言説空間として新聞を想定し、 博士一年の大津と共に記事分析を行った。国内で広く流行している「脳ブーム」に 対象を絞り、その中心である「脳トレ」に着目したところ、「脳トレ」は新聞記事において科学として扱われていないことが明らかになった。また科学的正しさよりも話題性や説明力を優先することがわかった。我々はこのようなフレームを「ネタ科学」と命名した。
今後は科学者共同体から「脳トレ」に寄せられる批判言説を分析することにより、人々の間で正当性を持つ「ネタ科学」的言説が科学者の立場から不合理に見えてしまう仕組みを明らかにし、その仕組みを成り立たせている 「科学」という営みの特徴を抽出する予定である。更に日本と同様の脳ブームが報告されている韓国との比較調査を計画中である。

本研究は科学者共同体出身の加瀬と、社会学出身の大津の議論を元に生まれたテーマであり、今後は加瀬が科学側、大津が社会側へと切り分けて研究を進める予定である。

経歴

東京大学理科二類 入学
東京大学農学部生命化学専修 卒業
東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻 中退
東京大学理大学院学際情報学府 在籍中

実績

  • 加瀬郁子・大津奈都子・水島希・佐倉統、「『ネタ科学』としての脳科学ブーム:脳神経科学コミュニケーションへの示唆」(Neuro2010、ポスター発表)
  • 加瀬郁子、「科学ブームが示唆する新たな形態の科学知識―『ネタ科学』という新概念」(STS Network Japan 夏の学校2011、口頭発表)
  • Kase, I., Otsu, N., Mizushima, N. and Sakura, O. “NETA-Science: scientific knowledge without requiring the correctness –Implication from science boom in Japan.”(The 11th International Conference on Public Communication of Science & Technology (PCST-2010)、ポスター発表)

論文


所属学会

  • 日本脳神経科学学会
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