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研究室ブログ Archive

総合病院精神医学会での発表

今回の総合病院精神医学会での発表では、緩和医療における医療従事者と患者の特定の症状に関する評価の重み付けが異なることを示した内容でした。緩和医療またはがん治療で行われている評価方法を整理した上で、本研究テーマの結果に基づいて考察を行うことができたので、黒田にとって大きな進歩だったと思います

座長は、大阪府立成人病センター脳神経科の柏木雄次郎先生が座長で、本研究の結果を踏まえて現場にフィードバックできることを今後考えていってほしいという発言がありました。今後のPRO-CTCAE研究で、臨床に患者さん主体の指標を導入していくことでフィードバックしていきたいと思います

PRO-CTCAE研究とは、米国のNational Cancer Instituteと共同研究を行っている、有害事象の重症度を評価するに際し医療者による評価だけではなく、患者の主観の評価であるPatient-Reported Outcome (PRO)の考え方を有害事象の報告の際に役立てようとする試みです。来年度は、PRO-CTCAE研究の日本語化および妥当性研究(量的・質的)に奔走することになると思います

来年度は、乳癌学会、緩和医療学会、ASCO(American Society of Cancer Organization)、IPOS(International Psycho-Oncology Society)での発表を計画しており、来年度に向けて1年間取得したデータを丹念に分析をして考察を深めていっているところです

黒田佑次郎

生命倫理学会での発表

11/16~17に東洋英和女学院大学で、生命倫理学会が開催されました

黒田は、緩和医療・死の臨床というセッションで、緩和医療における患者参加型の有害事象報告の有用性について、発表を行って参りました

学会参加者は、医療従事者や医学研究者だけではないので、がん医療の流れから有害事象との関係、そして問題提起に至った経緯まで序論でまとめました
日常診療では当たり前に通じる概念や枠組みをあらためて定義づけて、順序だてていくことだけでも、随分と知識が整理されたように思います

今回の発表では、検査結果や主観にもとづき重症度のグレーディングを行う症状と比して、患者さんの主観的な判断が伴う症状に関しては、医療従事者と患者の評価が相対的にずれるという研究結果を提示しました

生命倫理学会ということで、データを提示するのは最低限にして、医療現場からの問題提起という形で考察まで導きました

会場から複数の質問とコメントを頂いたので、論文に纏める際に、考察に含めていきたいと思います。質問にあがった主なテーマは以下の通りです
■ 心理士という立場から、問題提起に至った経緯
■ 定量的な解析のみならず、医療のプロセスを取り上げる必要がある
■ 今回の研究結果を通して、今後のビジョンについて

たしかに、一時点での医療者と患者さんの評価のデータからの結果と考察だったので、現場で生じている問題点にぐっと踏み込めなかったことは否めません。今後は、問題点に即した典型的な症例と医療のプロセス、つまり時間軸を加えた関係性、を提示することで、より具体化した局面を提示し考察を行っていきたいと思います

黒田佑次郎

4S (Society for Social Studies of Science) @Washington DC報告

修士課程2年の礒部です。以下、先日まで参加していた学会の参加報告をします。

 2009年10月28日から31日の間にアメリカ合衆国、ワシントンDCで開催された国際学会、4S (Society for Social Studies of Science) に参加した。4SはSTSを中心とした世界最大規模の学会であり、アメリカにその母体がある。以下では、時系列にその様子を報告したい。
 私は学会2日目の29日からの参加となった。29日は、Scientific Communicationのセッションに参加した。このセッションでは、日本から北大コーステップ所属の研究者が2名発表していた。また、個人的に興味を引かれた研究発表としては、コーネル大学のテレサのものであり、彼女は化学における専門の違いにより(実験化学と物質化学?)、同一分野内でもその文化に差異があり、その差異をどのようにしてコミュニケートしていくかというものであった。方法論としては大学院生から教授までに半構造化インタビューを行うというものであった。発表後、彼女と少し話しをしたところ、インタビュー自体の分析としてこの先、どのような形態が望ましいのかという懸念があることが分かった。私自身も、分析方法を巡っては、グラウンデッドセオリーを用いるのか、それとも他に妥当な方法を用いるのかという葛藤があったため、今後も連絡を取りあいながら、お互いに研究を進めていくことを約束した。
 30日は、3つのセッションに参加した。1つ目のセッションは、ガバナンスに関してのものであり、アリゾナ州立大のGustonや、Twente大(オランダ)のリップなどが登壇した。内容としては概説が中心であったが、特にリップについては、以前から彼のナノテクノロジーへの市民参加などの論文を読んでいたため、渡りに船という感じであった。2つ目のセッションとしては、科学政策の用語拡大のセッションに参加した。このセッションでは佐倉研の水島さんが、ベンチサイド倫理コンサルテーションについて発表を行った。デッスカッサントは、あのスティーブ・フラーであり、発言や行動がエキセントリックであり印象深かった。3つ目のセッションとしては、4Sのプレジデントが4名介し、かなり大き目の会場で行われたものに参加した。さすがに4Sのプレジデントということもあり、リンチ、ワイスマンなどビックネームばかりであった。内容としてはそれほど目新しいものはなかったが、実際に彼/彼女たちの話を直接聞けたことは収穫であった。
 最終日の31日は、自分の発表があるセッションとナノテクノロジーに関するセッションなどに参加した。私が発表を行ったセッションは、市民参加型の実践についてのものであり、セッション全体がかなりの盛り上がりをみせた。自分自身の発表は、脳神経科学の一分野であるBMI(ブレインマシンインターフェイス)についての市民認識・専門家認識についてのものであり、質疑応答では、先にあげたTwente大のリップから、ナノテクノロジー事例との差異について質問を受けた。セッション後、リップと話をする機会ももて、彼が書いた萌芽的技術としてのナノテクノロジーと社会・倫理を題材にした論文についてメールしてもらう約束をした。また、ナノテクノロジーのセッションでは、普段から親交のある山口富子先生が発表を行った。彼女とは、日本のSTS学会でもセッションを組むことが決まっているので、事前に発表を聞く機会をもてたことで、さらに研究の理解が促進されたと思う。

第4回こまば脳カフェ報告

 修士課程2年の礒部です。先日、東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター(UTCP)」と佐倉先生が主宰する東京大学脳神経倫理研究連携ユニットの主催によって、脳科学を中心テーマとする、こまば脳カフェの第4回が開催されました。今回のカフェで私はファシリテーターを行ったので、その様子を簡単に紹介します。

関連URL: http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/2009/10/komaba_brain_cafe_4_what_is_mo/

 2009年10月13日、第4回こまば脳カフェ「念じて動かす新技術―社会の中のブレイン・マシン・インタフェース」が開催された。今回は、慶應義塾大学大学院理工学研究科富田・牛場研究室博士課程でブレイン・マシン・インタフェース (Brain-Machine Interface; BMI) の研究をしている橋本泰成さんをゲストに、東京大学駒場キャンパス18号館4階オープンスペースにて行われた。

 最初に橋本さんから、研究されているBMIについて話題提供をしていただいた。BMIとは、脳の活動を読み取り、その状態変化に応じてロボットアームやパソコンなどの外部機器を動かす技術である。また、将来的には、医療応用が期待される分野である。話題提供後、実際にBMIを用いた技術についてデモンストレーションを行ってもらった。最後に、参加者を交え、全体で議論や質疑応答を行った。以下、順に紹介していく。

 橋本さんからは、社会の中のBMIとして、1, BMIの実際、2,メリット・デメリット、3,予想される危険という順に話題提供をしていただいた。まずBMIの実際として、BMIの分類である、「侵襲・非侵襲型」、「感覚系・運動系」、「機能代償・機能回復」の紹介から始まった。侵襲・非侵襲型の分類とは、脳のどこから脳波を取るかという基準から分類されるものであり、侵襲型は頭蓋骨の中、つまり脳自体の表面から脳波を計測するものであり、非侵襲型とは、頭蓋骨の表面から脳波を計測するものである。感覚系・運動系の分類とは、失われたような感覚機能を代替する人口内耳のようなものか、それとも外部機器を操作するようなものかという基準によって分けられるものである。機能代償・機能回復の分類は、前者は失われた機能を取り戻すBMI(例えば義手など)であり、後者は長期間BMIを使用することで脳卒中などによって失われた脳の機能自体を回復させようとするものである。
 BMIの分類紹介の後、具体的に橋本さんが研究されているセカンドライフを用いたBMI技術についての紹介があった。この研究では、BMIを用いて筋ジストロフィーの患者さんに対して、セカンドライフ(インターネット空間)上のアバターを、脳波をコントロールすることで操作するというものであった。また、橋本さんと同じ研究室のメンバーが研究している機能回復型BMIについての紹介もあった。具体的には、脳卒中のため手が麻痺してしまった被験者が、麻痺手を動かそうとする脳活動(脳波)を記録し、麻痺手を動かそうとする脳波を抽出することで、BMIの長期使用による神経リハビリテーション効果をもたらそうというものである。
 話題提供の最後にはディスカッションの話題として、「能力強化の危険性」や「あなたの脳はだれのものか?」などのトピックが紹介された。

 話題提供後のデモンストレーションでは、橋本さんが所属する研究室の小野さんから、セカンドライフを運動イメージで操作する様子を実際にみせてもった。カフェ参加者も実際のデモンストレーションを見ながら、質疑応答することで、具体的にBMI技術がどのようなものであったのかが理解できたと思う。

 全体のディスカッションでは、質問が途切れることなく、議論が続いた。BMI技術そのものへの質問だけでなく、将来的にどのような応用が考えられるのかといったことにまで議論が及んだ。ファシリテーターとしては、もう少しハードルの低い質問が多くの参加者から出るような雰囲気作りができればと感じた。この点については、ファシリテーターとして、次回以降の個人的な反省にしたいと思う。

 カフェ全体の感想としては、参加者も40名弱と多く、様々なバックグラウンドを持つ方々に参加してもらえたことで、議論の幅も広がったと思う。BMIに関するサイエンスカフェについては、今後もいろいろな場所で開催されることが予想されるので、そういった場で議論を継続していってもらえればと思う。

Brain matters@ハリファックス報告

 修士課程2年の礒部です。佐倉先生からも学会報告があったように、私もカナダのハリファックスで開催された学会、Brain mattersに参加し、発表を行ってきました。以下、その報告を行いたいと思います。

 Brain mattersは2009年9/24-9/26の期間において、カナダのハリファックスにおいて開催された、脳神経倫理学を中心テーマとした学会である。
 学会初日となる9/24は、夜にレセプションが開催された。アルコールや軽い食べ物を片手に、様々な人々と会話を楽しんだ。台湾大学のWuさんとは、9/26のパネルセッションNeuroethics in Asiaのことについて会話をした。学会参加前から、機会があれば話したいと思っていた、Andrew Fenton(Dalhousie大学)とも知り合うことができた。Andrewは脳神経倫理の分野で注目される若手研究者であり、特にカナダでの脳神経科学デバイスの規制や、拡張された心の理論を脳神経倫理学の議論に援用しようとしている。彼とはかなり長い時間話すことができ、自分自身の研究の紹介や、Andrewが9/25に行う予定であった発表「脳と性」の発表内容についても話すことができた。また、同じDalhousie大学のChrisとSimonとも知り合えた。Chrisは哲学的な観点から脳神経倫理学にアプローチしており、Simonは社会学やSTSの領域から脳神経科学にアプローチを行っている。特にSimonは専門分野が近いこともあり、自分自身の研究の状況や今後の展望などについて有益なやり取りができた。以前、東京に招いたこともあり、親交のあるEricとは、彼の東京での滞在のことや、カナダの脳神経倫理学の現状について会話を行った。概して、Brain mattersのレセプションは、人と人の対話が起こるような空間が演出されていたように思う。
 9/25は早朝からのポスター発表で幕を開けた。私自身のポスターは、脳神経科学の一分野であるBMI(Brain-Machine Interface) について、市民と専門家が、そのリスク、ベネフィットなどについてどのような認識を持っており、両者の認識の間にはどのような差異が存在するのかを明らかにしようとしたものである。ポスターを見に来ていただいた人々からは概ね好評であり、特に、Dalhousie大の神経科学部長Alan Fineからかなりの反応があった。どのような形でかは詳細には話せなかったが、東大との研究協力、例えば交換留学など、の要望を持っているということを伝えられた。
 自分自身のポスター以外では、Kuhlmeyer (Germany) の“Persistent vegetative state: Neuroethical insights from the dramatic Italian of Eluana Englaro” が印象に残った。彼女のチームの研究は、一人の植物状態の女性に焦点を当てることで、長期間参与観察を行っているというものであった。また、Bastien (Montreal)のポスターは、“Ethical and social challenges in healthcare for adolescents and young adults with cerebral palsy” と題されたものであり、脳性麻痺の若い世代の患者に対しての倫理・社会的問題を具体的な事例に基づいて扱ったものであった。
 オーラルセッションでは、Ericらの “Social expectations for performance enhancement” に参加した。Ericらの発表は、以前に東京で発表してくれた内容の発展版であり、着実に研究が進んでいる様子が理解された。内容としては、Public Understanding of cognitive enhancementであり、市民がどのようにエンハンスメントを捉えているのかということについて、質問紙調査票を用いて研究を行っていた。Ericからは、何らかの形で、我々のチームとも将来的に国際比較など共同研究ができればという要望を伝えられた。
 また、レセプションでも知り合ったAndrewの個人発表にも参加した。内容は「性と脳神経科学」であり、日本で話題となっているような女性脳・男性脳のような話も少なからずあった。彼からは帰国後、発表内容についてのドラフトを送付してもらった。
 また、Lipsmanらの発表、“Enhancement, psychiatry and neurosurgery: Qualitative studies in applied neuroethics” にも参加した。彼は医者であり、医学的な観点から、現時点は精神医学、25年後はBMI、50年後はエンハンスメントという実践が医学的に可能になるであろうという視座のもと、精神医学やエンハンスメントへの印象について質的研究を患者群に対して行っている。
 学会でのシンポジウムが終了した後、夜にはSocial eventが開催された。こちらは初日のレセプションとは少し様子が異なり、カナダ名物のロブスターなどを着席して食べながら、ゆっくりと会話を楽しんだ。ここでは、脳神経倫理学の研究を牽引する研究者の一人であるマーサ・ファラーと知り合うことができた。また、近くに座っていたEricとは比較的長時間話すことができ、2010年にモントリオールで開催される予定のBrain matters Ⅱへの我々のチームの招待があった。
 学会最終日、9/26は、日本での知人である福士フェロー(JST)、石原先生(東京大学)、そして初日のレセプションで知り合ったWuさんがパネルセッションを開催しており、そこに参加した。 福士フェロー、石原先生からは日本における脳神経倫理学の状況が紹介された。私の興味を特に引いたのは専門が近いWuさんの発表であった。Wuさんは、pTAの背景として、一般市民の科学に対する信頼の欠如、またボトムアップ型の政策決定の必要性を紹介した後、台湾のBrain bankについて、ステイクホルダー(患者、家族、医療関係者など)への質問紙調査の結果の一部を発表した。ここでは、欧米のように個人が中心となり意志決定する状況とは対比的に、台湾の家族中心の意志決定の状況が明らかとなっていることが示された。つまり、個人の意志決定に家族の意志決定が大きな影響を与えているという図式である。
 また、東京大学での友人である小口くんの個人発表にも参加した。彼の発表は、侵襲性(invasiveness)に関わるものであり、脳神経倫理において侵襲性という基準が、拡張された心の理論を援用すれば、ほとんど意味がないものであるという内容であった。学会最後の発表は、知人であるNail Levyからのものであり、脳神経倫理学と人間の本能との関係についての哲学的議論であった。
 Brain matters全体を通して、カナダ、そしてハリファックスという場所からか、暖かみのある、フレンドリーな学会であった。発表を行い、発表内容を聴くだけでなく、人的交流も十分に出来、個人的には満足のいく学会参加であった。可能であれば、モントリオールで開催される予定のBrain mattersⅡへも参加したいと思った。最後に、このような貴重な経験を可能としてくださった、佐倉先生はじめ、佐倉研関係者の方々には感謝を表する次第である。

神経科学大会終了

昔から日記が大の苦手だったので、ブログっていうのも全然更新できないんですが、大きなイベントが終わったので、御報告します。日本神経科学大会が2009年9月16~18日に名古屋で開催されました。我が研究室からも、口頭発表1(佐倉)、ポスター発表1(水島)を出し、さらにサテライト・カフェの企画運営を行いました。カフェは、BMIと哲学の対論、さらに、シニアな研究者を若手たちが囲んでの車座トークというのも試みましたが、とても盛り上がって充実した内容となりました。詳しくは、他のメンバーが臨場感あふれるレポートをアップしてくれることと思います!

秋は学会シーズン、10月、11月と、いろいろな学会が続きます。我が家からも、カナダの学会や国内学会で発表してきた学生さんがいます。これも詳細は、本人たちからの報告を待ちましょう。

学会で発表すると、学生さんが一回り成長するのが良くわかります。何というか、自信をもつというか、「らしく」なるというか。誰もが最初は初心者。そうやって、少しずつ場数を踏み、大きくなっていくんですねー。

がんばれ、若者!

続々と対談

7月23日に、滋賀県知事の嘉田由紀子さんと対談しました。NHKテレビ「サイエンスZERO」の収録です。

嘉田さんはもともと環境社会学が御専門の研究者ですが、琵琶湖周辺の水に関する人々の生活のあり方を丹念に調査し、生活や経験の中に織りこまれた人々の智慧を明らかにしてきた方です。ゲノムや脳科学といった生命科学が、これから人々の生活とどういう関係を切り結んでいくのがいいのか、そこをお聞きしたくて対談をお願いしました。御多忙の中、快くお引き受けいただいて、感謝です。

今年は対談の当たり年のようです! これからもがんばります!

あと、村上春樹『1Q84』の書評を『文藝春秋』2009年8月号に書きました。人間の心の中の無意識の領域を、村上春樹作品は巧みに描きますが、この『1Q84』もその点で秀逸。無意識領域の「飼い慣らし」は、人類社会にとって必須の作業で、宗教がその社会的機能を担ってきたとのだと思います。そんな観点から書評してみました。機会があればこちらも御覧ください。

乳癌学会にて

乳癌学会でOral Presentationをしてまいりました。研究テーマは、乳癌患者の更年期症状がQOLに与える影響についてで、複数の質問紙を組み合わせた調査研究の報告でした

乳癌治療において、更年期症状は高頻度に起こるにも関わらず過小評価されているので、その重要性を訴えたかったのですが、同様に考えている医師・看護師と現場に生かしていくための議論ができたのは有意義でした

学会に参加した印象ですが、医療スタッフは多忙な日常診療に追われて、現場において重要な研究テーマをもっていたとしても、適切な研究の方法論がわからず、詳細な分析を行えていないことを実感いたしました。

僕は現在Methodologyに関心があるので、現場で生じている現象をできるだけ生のデータとして集積し、丹念に分析することにより、現場にフィードバックしていくことを目指しております

そういった流れで、現在は、緩和医療、リハビリテーション科、乳腺外科などとコラボレーションして、研究を行っております(東大病院のみならず、地方の施設とも連携してます)

黒田佑次郎

音楽と科学

久しぶりの更新です。今日、作曲家の吉松隆さんと対談しました。お題は、音楽と科学。吉松さんとお会いするのは初めてですが、とても美しい曲を作っている方です。音楽をどこまで科学できるか、それはすなわち人間を科学することである、などなど、話題は弾んであっという間の2時間。楽しかったです。

表現媒体としてのインターネットなどについてもお話しをいただいたので、そのうち学環でも講演していただこうかと思っています。お楽しみに!

吉松さんのHP
http://homepage3.nifty.com/t-yoshimatsu/

佐倉ゼミで購読している文献

学期も残すところあと少しとなりましたが、現在、ゼミで読み進めている
文献について紹介したいと思います。
ゼミは週1回、前半に各人の研究発表&質疑応答、後半に文献購読という形を
とっています。

今学期読み進めている文献は、Stanley Finger (1999) “Minds Behind The Brain: A History Of The Pioneers And Their Discoveries” Oxford Univ Pr.です。
脳科学の成立・発展の経緯を科学史的に書かれた大著です。
私が担当したのは17章で、内容は、スペリーが研究・実践した「分離脳」についてでした。
分離脳とは、脳の左脳と右脳をつなぐ脳梁を断ち切ることで、てんかん患者の発作を抑えること
を目的として行われた術式です。
スペリーは分離脳患者を観察・分析することで、左脳と右脳の機能分化(左脳が言語をつかさどり、右脳は感情 etc.)
を証明しました。
彼はこの研究により、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
現在はこの術式はほとんど行われず、薬物による治療へと変化してきています。
ただ、スペリーが証明した脳の機能分化の概念は脳科学史上、重大な発見であることには
かわりありません。
私たちが現在では、”常識”として持っている左脳と右脳の機能分化もスペリー以前は、認められていませんでした。

私が担当した以外の章も、デカルトやアリストテレス、シャルコーなど興味深い内容が並びます。
ご興味がありましたら、ぜひご一読を!

礒部

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